愛のフィナーレ

作詞:なかにし礼;作曲:宮川 泰;編曲:高田 弘;
All Songs Box:6枚目7曲目
歌い出し:恋の終わりは 涙じゃないの それは思い出の はじまりなのよ
ポイント:藤村美紀(ミキちゃん)の歌唱力の素晴らしさ。 一連のザ・ピーナッツのカバーの中でも、極めて優れたアレンジ。 曲の最後のギターソロも秀逸。

「ザ・ピーナッツ」伊藤エミさんの追悼、というわけでもないのですが。。
「愛のフィナーレ」は言わずと知れた双子デュオ、ザ・ピーナッツの曲。WIKIPEDIAによると1968年2月の発売らしいです。1959年デビューの渡辺プロ所属なのでキャンディーズの大先輩ですね。(1941年生まれなので年齢に関しては、そこまで変わらないのですね)。

キャンディーズのこの曲のカバーは、スタジオ録音は「キャンディー・レーベル」のB面に固めて6曲あり、その最後の曲がこの「愛のフィナーレ」です。
どちらが先なのかわかりませんが(おそらくライブかな?)、キャンディーズはコンサートでもザ・ピーナッツメドレーを演奏していて、DVDの「キャンディーズ・トレジャー」ではその映像を見ることができます。ライブでのこの曲は3人がユニゾンで歌い上げるアレンジになっていて、最後の「わたしのために―」が三声のコーラスで締めくくるというものでした。

「キャンディー・レーベル」収録のスタジオ版の方は、藤村美紀(ミキちゃん)の独唱です。このころのミキちゃんの歌の表現力は、だいぶ完成されまくっている気がしていて、同じアルバム内でも、「オレンジ色の海」「二人のラブソング」「キャンディ」などで一曲一曲異なる表情をみせる歌唱にはただただ脱帽です。

愛のフィナーレの動画


オリジナルも重厚なアレンジですが、極めて秀逸なアレンジ、そしてそれに負けない歌唱力を魅せていると思っています。

愛のフィナーレの魅力

この曲は作詞がなかにし礼、作曲が宮川泰とおなじみの二人です。ちなみにキャンディーズバージョンの編曲、高田弘はちあきなおみの喝采の編曲などやアニメの作曲や編曲を手掛けているようです。キャンディ・レーベルでは「恋のバカンス」と「愛のフィナーレ」の2曲の編曲をしていますが、特に「愛のフィナーレ」は気合が入っている印象を受けます。パートごとにメリハリがありますが、まったく不自然さを感じさせません。メインのリードの金管はトランペット?(すみません、金管はよくわかりません)

それにしても、ミキちゃんの歌唱力は本当に素晴らしいです。アレンジにぴったりと合わせて、出だしのメロディーの押し殺したような歌いだしと、そこから大きく変化するサビの伸びのある歌い方と。また表現もこの失恋曲に合わせていて、同じアルバムでの「二人のラブソング」や「オレンジ色の海」とも違った表情ですね、特に「キャンディ」の女の子っぽい歌い方と比べるとこれは同一人物なのだろうかと思ってしまいます。

もう一つ特筆すべきは、エンディングのギターソロ。この演奏は誰なのでしょうか。西慎嗣なのでしょうか?演奏の難易度とかではなく、すごい名演奏だと思います。この粘りとリズム感はなかなか聴きごたえがあり、世界的にも遜色がないと思います。「あこがれ」のエンディングソロも名演奏だと思いますが、この曲もギターの演奏という意味では負けていないです。
もし他と比較するのであれば、例えばバンバンの「いちご白書をもう一度」とかふきのとうの「白い冬」が似たようなギターの雰囲気を受けますが、この「愛のフィナーレ」は一つか二つずば抜けている。

おそらくミキちゃんの歌唱力とあいまって昇華されたのではないでしょうか。
ザ・ピーナッツのカバーの一曲で片づけるには全くもったいない作品だと思います。

※ちなみにこの曲は菅原洋一、 尾崎紀世彦などもカバーしています。



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10 コメント

「愛のフィナーレ」への10 件コメントがあります。

  1. 庵敦

    こうした、ミキさんのハスキー&ウィスパー大人の悲恋ものは、実は30年後を見越したタイムカプセルだったのかもしれない。
    録音した後で、当時のファンの坊や達に、
    「君たち、これがわかるのは30年後よ!、そのときミキを思い出しなさい!」って言っていたかも・・・・。

    大したお方です。
    「恋はサーフィンに乗って」とか「あのひとあまのじゃく」と
    同じ歌い手とは思えません。

    この「愛のフィナーレ」を聴いたとき、「ちょっと極端すぎません?」と感じたのだけど、いろんな歌手の方がカバーしている中でここまでヨーロピアンテイストの絶唱はありませんね。

    02 7月 2012 at 21:19:06

  2. admin

    庵敦さん、早速のコメントありがとうございます。
    ヨーロピアンテイストの絶唱とは言いえて妙な表現ですね。「ISABELL」が似た方向性の歌唱ですね。
    キャンディーズは色々なジャンルの曲を歌っているので、それが今でも聞けるのが大変貴重と思います。もっとたくさん歌ってほしかったと思うのはよくばりなのでしょうが・・・

    03 7月 2012 at 9:10:18

  3. わなうさ

    adminさんのご指摘通り私もアウトロのギターソロは気になっていました。水谷公夫氏のプレイでしょうか?フェイドアウトさせずにもっと長く聴いてみたかったですね!
    ミキちゃんの歌唱については上手く歌おうというより何か実験的なトライをしているような歌い方に感じます。
    尚、先日高速道路ののサービスエリアの売店に「ザ・ピーナッツ」のベスト盤CDがあったのでつい買ってしまいました。今「愛のフィナーレ」や「ふり向かないで」等を聴き比べているところです。

    12 7月 2012 at 1:18:38

  4. admin

    わなうささん、コメントありがとうございました!

    ギターですが、この時期はMMPなのかなーと思っていて西慎嗣か山田直毅なのかと考えていました。この辺の知識は少ないので何とも言えませんが・・・

    ミキちゃんのボーカルですが確かに演劇的ですよね。

    ザ・ピーナッツ盤は自分も持っていますが、さすがにアレンジ・歌唱法などは歴史的な香りを感じます。70年後半くらいに活躍されていたらどんな風だったんだろうなと思いました。

    12 7月 2012 at 20:23:11

  5. わなうさ

    ザ・ピーナツのベスト盤CDを拝聴しましたところ、後期の作品に「指輪のあとに♪」(作詞:安井 かずみ、作曲:加瀬邦彦、編曲:馬飼野俊一)という曲を見つけたのですがこの作家陣をみると後のキャンディーズサウンドにも関わってくる方々なので当然かもしれませんがキャンディーズサウンドの基本になっている要素がたくさん含まれている様な感じがしました。出来ることならこの曲のキャンディーズバージョンも聴いてみたかったです。
    歌い出しはランちゃんのソロで入って2度目のAメロのハモリはミキちゃん、サビはスーちゃんのソロ?などと自分がプロデューサーになった様な気になっちゃいますね。こんな想像をするだけでも楽しくなっちゃいますね!

    22 7月 2012 at 21:46:21

  6. admin

    わなうささん、コメントありがとうございました!返信が大変遅くなってしまいすみませんでした。
    「指輪のあとに」聴きました!この曲、1973年2月のリリースなのですね。ザ・ピーナッツはアレンジがどうしても一世代前な感じがしますね。それを思うとキャンディーズの曲のアレンジの新しさ!
    曲はテンポの良い曲でコーラスラインとかも面白いですね。ザ・ピーナッツの魅力が存分に出ていると思いました。キャンディーズがこの曲カバーしたら、「銀河空港」と同じような名演になりそうですね!

    20 8月 2012 at 11:13:52

  7. R32

    この曲と「イザベル」聴きたさに「キャンディーズプレミアム」を買いました。
    新品です。高かったです。
    後で後悔するならと思い決断しましたよ。

    でも

    買って良かった。

    「キャンディレーベル」の全てを聞き直したかった。
    当時は中学二年生。
    美樹ちゃんの絶唱に当時も凄いと思っていましたが、この年になって改めて聞く「愛のフィナーレ」・・・
    感情を抑えて抑えて、吐き出し吐き出し。

    凄い。

    ザ・ピーナッツのそれとは異なるリアルさ。
    美樹ちゃんは間違いなくアルバムの中のセンターでした。

    単なる郷愁ではなく、現在の音楽として、私の中でキャンディーズが復活しています。

    18 9月 2013 at 2:22:12

  8. admin

    R32さん、はじめまして、返信が遅くなってすみませんでした。
    僕も「CANDIES PREMIUM」を持っています、自分が買った時は未使用品で25,000円でした。全く後悔していません。
    キャンディーズのアルバムを知ることで、音楽の世界が広がりますよね。仰るように、ザ・ピーナッツ自体の音源はさすがに時代を感じますが、キャンディーズによるカバーは古さがまったくないと思います。
    特に「愛のフィナーレ」の美樹ちゃんの歌唱とそれに続くギターソロ。激しい曲だと思います。

    07 10月 2013 at 22:48:03

  9. 飴玉一家紅組

    ただただ、凄いの一言です、ミキちゃんが21歳のときの吹き込みだと思うと・・・
    「さよならの朝」「オレンジの海」「わな」etc…紅組ですが、携帯プレイヤーでお気に入りで聴くのは、ミキちゃんの曲けっこうあります。

    解散後にそのまま、ニューミュージック方面に進出しなかったのか、彼女のあふれ出るほどの才能を考えると惜しんでやみません・・・

    「キャンディーレーベル」はジャケ写が物語るようにミキちゃん色に染まったアルバムですね・・

    23 12月 2013 at 20:14:42

  10. admin

    飴玉一家紅組さん、コメントありがとうございました。

    元々からですが、この時期あたりからの美樹ちゃんの表現力の豊かさは、アイドルを超えてきていますよね。「キャンディーレーベル」、「早春賦」などは解散発表後のアルバムで曲を盛り込んで枚数を増やした企画であることは否めませんが、結果として多くの曲が生まれたのは、後からのファンにとって幸いだったと思います。

    05 1月 2014 at 16:55:27

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