帰れない夜

作詞:竜真知子;作曲:穂口雄右;編曲:穂口雄右;
All Songs Box:3枚目14曲目
歌い出し:なんとなく退屈で あなたに誘われたの
新しいバイクに乗った あなたに誘われたの
ポイント:ミキちゃんの、一音一音に対する表現の豊かさ!

アルバム「その気にさせないで」のB面曲。「その気にさせないで」はバリエーションに富んだ楽曲の若干実験要素も強いアルバムに思います。
この曲の特徴は何と言っても曲の長さ。全体で6分1秒。しかも曲のエンディングがその内の1分45秒くらいあります。これは後期の数曲、「キャンディーズ1676日」「土曜の夜」「悲しみのヒロイン」「あこがれ」に続く長さです。きわめて長い曲だということが言えます。

「帰れない夜」の動画


この動画のコメントを見ると、3人のお気に入りだとか書いている情報もありますね。

「帰れない夜」の魅力

「帰れない夜」ですが、個人的には結構単調でかつ意味なく長い印象を持っていて、どちらかというとアルバムの時間の埋め合わせだったのかなとか思っていました。この曲の魅力は何だろうと考えながら聴いていて、ふと最近思いました。
ここからはかなり私論になります。この曲の聴きどころですが、一言でいうとミキちゃんの歌唱なのですが、とりわけ注目すべきポイントは母音の発声バリエーションです。特に「あ」の音です。
作詞の意図なのかどうかわからないですが、この曲は「あ」の出現頻度が高いです。
例えば、
しいイクに乗っ あなたの」
あなたなら こい」
かがかわりそう わたしもきょうから
上記は一例ですが、全体に意識して聴いていただければわかると思います。
そして驚愕すべきは、その一つ一つの音の表現のバリエーションの豊かなこと。これ自分の文章力ではうまく説明できませんが、本当に意識して聴くとすごいなーと思ってもらえると思います。
一例ですが、たとえば下記の所。

んとなく・・・
にさそわれの・・・
いにちから・・・
ぬけだしたかった・・・
なでげた、ながいかみ・・・
こわかったけど・・・
きざぽい・・・
のぞいてた
なたなら・・・
しらない・・・
たしいいこ・・・
わたしも、きょうから

すみません、すべてはとても書けないのですが、全編この調子です。おなじ「あ」という音に対するミキちゃんの表現の豊富さを存分に味わっていただきたい。と思います。
ミキちゃんの歌唱力を味わえる曲は例えば他にも「恋はサーフィンに乗って」などが同系統の印象があります。「帰れない夜」はシューティングゲームを進めていくように矢継ぎ早に音が出てくるので、何回もトライして聴くと毎回色々なところに発見ができると思います。

「帰れない夜」について補遺

エンディングの長さについて、コメントでも色々と感想をいただいてまして、自分でも意図について興味を持ったので、穂口雄右氏ご本人に直接質問をさせて頂きました。そうしたところ、ありがたくもご回答をいただきました!!

フェードアウトの時は、何時もエンディングを延々と続けて、皆んなでアドリブを楽しんでいました。したがっていろいろと入っていたと思います。元来はミュージシャンのノリを引き出すことが目的なので、発売時での使用は想定していませんが、時々吉野さんが気に入って使っていたようです。

この曲に限ったお話ではないと思いますが、なるほど~、という内容です。吉野さんとは、吉野金次氏の事ですね♪
これを伺って自分が思ったのは、使用されていない部分が非常にもったいない気もしますが、そうやって研ぎ澄まされて高い音楽性が作られるのかなあと思いました。
当時のレコーディングの雰囲気が垣間見られる貴重なお話しを頂けて感謝、感謝です!
こういう情報を自分のサイトで共有できたのはとてもうれしいです。

(2013年6月17日加筆)



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3 コメント

「帰れない夜」への3 件コメントがあります。

  1. わなうさ

    adminさんこんにちは。
    ミキちゃんの歌の深さを知るにはうってつけの作品ですよね!曲の謎めいていてちょっと危険な感じを歌い方で表現していて素晴らしいですよね!
    確かにTwitterでのガワオさんご指摘の通り歌い出しの前に咳払いみたいな声が入ってますね!前奏の部分のスキャットで気合いを入れすぎたランちゃんかスーちゃんが息切れしてつい出してしまったのが残ったのでは・・?と勝手に推測します。Beatlesの「ツイスト アンド シャウト♪」の歌い終わりでジョンのため息みたいのが入っているのと似てますかね(笑)
    尚、「若さをどこかへ閉じ込めていたの~」の部分ではミキちゃんの声は入っているのでしょうか?入っているとしたらどんなパートを歌っているのかが気になります。「待ちぼうけ♪」なども同様な部分があり気になってました。
    話は逸れるかもしれませんが、コーラスに廻った時のランちゃんはどの作品もいつも気合いが凄いなと感じます。やはりA面曲のほとんどを自分センターで歌っているので他の二人がメインの時の作品作りに対してランちゃんの責任感がにじみ出てて凄いなと思います。

    尚、エンディングの長さでは他に「優しいだけじゃいや♪」と「土曜の夜♪」がそれを感じてましたがどの作品も時間の長さは感じませんね。それぞれに持ち味があって楽しんでいます(「優しいだけじゃいや♪」ではバンドのライブサウンドの様。「土曜の夜♪」は独立したジャズのスタンダードの様)。

    09 6月 2013 at 8:31:45

  2. crossroad

    adminさん、こんにちは。
    昨日、今日と連休なので、じっくりこの曲をききました。
    adminさんの「この曲の聴きどころ」楽しく拝見しました。本当に目の付け所が凄いですね。私は「母音の発音バリエーション」は全く気がつきませんでした。
    adminさんの分析力に感服します。

    昨日はこの曲のコード進行をさらって、ひたすらギター弾いてました。
    気が付いた事は、Dマイナーペンタトニックを使ってメロディーが成り立っている事が解りました。歌メロ、サビ全てDマイナーペンタトニックだけで通してます。この限られた音階で何故キャッチーなメロディーを生み出す事ができるのでしょうか! さすが元アウトキャスト!穂口雄右、天才ですね。

    ギターは6弦10フレットのDを基準にしてメロディーは4弦12フレットのDからはじめると、スムーズに歌メロをさらうことが出来ます。

    ではなぜ、後半が単調に感じるのでしょうか。
    エンディングのコード進行は{Dm・C Dm}{Dm・C Dm}{Gm・F Gm}
    {Gm・F Gm}{Gm・F Gm}{Gm・F Gm}{A・G A}{C D♭}の繰り返しでフェードアウトアウトしていきます。このコード進行をずっと弾いていたのですが、気がついたらアドリブでギターソロ弾いてました。そうなんです!
    やっぱり、リードパートが無く、このコード進行のみでフェードアウトする事がもったいないのです!!
    これだけストリングス、ホーンセクション、滅茶苦茶カッコイイ ギターカッテイングのアレンジなのになぜでしょう?ギターはおそらく寺内タケシの愛弟子、水谷公夫さんだと思うのですが、この名ギタリストがリードプレイしていたら、かなりスリリングな曲になっていたのではないかと。
    ギターだけに限定せずにサックス、ピアノなどの楽器でソロをプレイしても良かったのではないかと。
    仮に後半にソロパートがあったとしましょう。あったとしたら、このパートに「ちょっと待った!」とイチャモンを付けるのは,ナベプロ独裁者、渡辺晋しかいないでしょう!!

    adminさんが仰るとおり実験要素が強いアルバムですから、エンディングにソロパートがあったのでは??と疑ってしまいます。謎ですね。

    この曲の楽しみ方は曲を聴くだけにとどまらず、エンディング1分45秒間に合わせてアドリブで歌を歌ったり(エラ・フィッツジェラルドばりに)ホーン、ピアノ、ギターでアプローチするのも楽しいと思います。
    カラオケボックスに「帰れない夜」があったらマジで歌でアドリブをやると楽しいでしょうね!!

    ミキちゃんの表現力、ハーモニー、バックの演奏がとても魅力的な曲だと思います。

    10 6月 2013 at 15:02:11

  3. admin

    crossroadさん、わなうささん
    早速のコメントいただきありがとうございます!
    本文では、この曲の説明は歌い方に絞って曲調やアレンジについては触れてなかったのですが、見事に補完して頂いておりまして、感謝いたします。

    個別のコメントの返信についてはまた改めてさせて頂きますね。

    14 6月 2013 at 8:54:00

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